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NICHIBUN

日本語日本文学科ではどんな学びが得られるの?
魅力的な「演習」の一部を、ニチブン生が紹介します!
気になる卒業論文テーマ一覧や、学外活動レポートも。

演習って何するの?

EXERCISE

日本語日本文学科では、1年次から身に付けていく日本語学、日本文学、日本語教育、関連分野の知識を生かし、2年次からはその発展として「演習」を行います。
「演習」には、主に日本語学演習、日本文学演習、日本語教育演習、それらを複合した複合演習があり、
いずれも知識の応用と思考・判断、資料作成と発表の経験を積み重ねることで、文章を正確に読解しまとめる力と、自らの考えを精緻かつ効果的に伝える表現力を養います。
ここでは、「日本語教育演習」と「中近世文学演習」を取り上げて紹介します!

日本語教育演習

本演習は、10月にある海外での教育実習に向けた取り組みが中心となります。

4月

韓国の祥明大学校とインドネシアのブラヴィジャヤ大学からの短期研修団受け入れの活動の様子や、熊本の黒髪小学校、アメリカ、韓国、イギリス、中国、インドネシアへの教育実習の様子など、昨年度の実習報告が行われます。受講生はこれらの報告や説明会等を通じて、今年度の実習先を決定します。当時の私は日本語教育関係のサークル活動を通じて韓国人の友人が増え、韓国文学や日韓関係について学ぶ中で韓国への関心がとても高まっていたため、この時期から「実習先は韓国」と心に決めていました。

5月〜6月

学習者の習熟度や国籍等を各自が自由に想定し、指定の文法を用いた短い会話文を作成します。文法の意味や用例を調べながら学習者の習熟度に応じた語彙レベルにすることで、学習教材を作る訓練になります。また、会話文発表と並行して5月末頃までには実習先を各自決定します。同じ実習先同士で実習団を組み、その後は団ごとで実習先の先生と相談しながら実習日程や現地での滞在先を決めたり、学習者の情報を参考に授業案を考えたりします。学習者はもちろん、実習生自身も楽しめる授業は何か、自分のやりたいことは何か、日本語ネイティブだからこそできることは何かなど、様々な角度から授業案を検討して演習での発表に臨みます。発表の場では互いに意見を出し合い、実習生の意見を尊重したより良い授業を作るために受講生全員で協力します。

6月〜7月

6月末から7月頭頃に韓国の祥明大学校から短期研修団が来校します。4年生と大学院生が中心となり、研修最後の成果発表会に向けた発表づくりを行います。昨年度は「令和元年!熊本を漁って・食べて・歩くんデス!」をテーマに、韓国と熊本の食文化比較や買い物、散策体験記を発表しました。韓国に関心のあるたくさんの本学学生が発表を見に来てくれ、大変好評な発表会で幕を閉じた研修でした。この研修を通じて祥明大学校の学生と仲良くなったことは、私にとっては教育実習へのモチベーションに繋がりました。

7月〜夏休み

作成した授業案で何度も模擬授業を行い、見学に来た実習班のメンバーや他の受講生から意見や指摘を受けて授業案の改善を重ねます。それと並行して他の実習団の模擬授業を見学し、また一方では航空券やパスポート等、実習に必要なものを各自揃えねばならず、この時期は一年の中で最も多忙です。模擬授業での厳しい指摘で、あるいは授業案の試行錯誤が延々と続き、はたまた実習生同士の連携の取れなさなど、様々な障壁にぶつかって学生たちは時に涙しますが、学習者によい授業を届けるべく、そして実習が無事成功するように、協力して全力で準備に取り組みます。

10月〜12月

いよいよ実習へ出発します。昨年度、私は韓国の祥明大学校へ行きました。授業内容の検討と改善を授業前日まで繰り返したお陰で、学習者からは「楽しかった」という感想を、祥明大学校の先生からもよい評価を頂けました。実習に向けて準備と模擬授業に励んだ甲斐があったと強く感じました。また、授業以外の面も大変充実していました。初めての寮生活、学習者たちと一緒に食べた美味しい韓国料理、休日の観光地巡り。書ききれないほどの思い出があり、さらには祥明大学校の先生方の計らいで学習者による日本語状況劇にもお招き頂くなど、貴重な体験もさせて頂きました。7月の短期研修団で知り合った学習者とも再会し、新たな友人もたくさん増えました。忙しくも大変濃厚な、私にとって掛け替えのない10日間の実習でした。
帰国後は、教育実習での反省や授業の映像を発表します。思い出話や実習先での注意等も含め、来年度の実習に役立つ情報を共有します。
12月にはインドネシアのブラヴィジャヤ大学から短期研修団が来校します。こちらは3年生が主に担当し、成果発表会に向けた発表練習を手伝います。昨年度は都合があわず研修団は来ませんでしたが、一昨年はインドネシアの食事や伝統的な踊りのパフォーマンス等、インドネシアの文化について発表しました。

最後に

この演習の最大の魅力は、やはり海外での教育実習です。それを目当てに履修する学生は毎年多く、中には実習をきっかけに日本語教師を志す学生もいます。私も、アメリカと韓国での実習にとても影響を受けました。海外の日本語教育の実態を生で観察でき、学習者と同じ環境と文化の中に身を置くことができる。これは、日本語教師を目指す者にとってはこの上なく貴重な経験です。そして実習のお陰で、海外にたくさんの友人も得ることができました。私の学生生活は、日本語教育演習を通じた仲間や学習者たちとの出会いによって充実したものになりました。本演習で関わった全ての人に心から感謝しています。この経験を大切に、日本語教師を目指して努力を続けたいと思います。

紹介:日本語日本文学科卒業生(現 大学院文学研究科2年) 徳山晶

※このレポートは、2020年度に作成したものです。

中近世文学演習

昨年度受講した中近世文学演習について紹介します。本演習では、『文明十一年何船百韻』という百韻連歌を扱いました。連歌は、五・七・五の上の句と七・七の下の句を交互に、複数の作者が詠みつないでいき、百句を作りあげている作品です。受講する学生は二句ずつ担当を受け持ちます。学生は担当箇所について調べ、最終的に前の句と合わせ一つの歌としてどのように解釈することができるのかを考え発表します。
具体的な調べ方としては、まず式目と呼ばれる連歌のルールを確認するために、季節や題材としているものや、前の句とのつながりとなるような言葉の組み合わせがないか、研究室にある本を使って探します。初めて発表を担当する時には、研究室にある大量の本の中から、ルールを確認するために必要な本を探し出す所から始まります。最初は戸惑うこともありますが必要な本の場所や効率的な調べ方を先輩や先生に尋ね、発表を重ねることで徐々に準備に慣れていきます。次に、似たような言葉の組み合わせや表現が他の和歌で使われていないか、

データベースを使って確認した後、調べたことを基に解釈を考え資料を作成します。データベースを使うときには、単語と単語の組み合わせの例を確認するだけでなく、句の中で繋がっている言葉をまずは一つの表現として検索することが重要です。例えば「かたぶく」と「月」の組み合わせでどれくらいの和歌が詠まれているかを確認するだけでなく「かたぶく月」という言葉が他の和歌で使われているのかを確認し、連歌独特の表現か考えます。調べた結果を資料に載せる時には、ただデータベースで調べて見つかったものを全て例として挙げるのではなく、この句を解釈する上で本当に参考になるかを考え例として挙げます。
担当箇所の発表後は、受講している学生や先生からの指摘や質問が飛び交います。解釈に関しては特に難しい部分で、時には参加者全員で悩みながら解釈を考えることもあります。例えば、冬山の中にいると解釈してよいのかを議論し、詠み手の立ち位置は山を越えたあと山中の道のりを振り返ったものだから山中ではない、というに結論に至ったことがありました。また、「花」という言葉が入っている句について、季節は春で本当に正しいのかを話し合い、ルールを振り返ることにより、この句の季節は冬で「花」は舞い落ちる雪を例えているのではないか、という結論に至ったこともありました。ルールを確認し、一語一句丁寧に確認し議論する中で、頭の中で思いえがいていた情景とは全く違う解釈にたどり着くことがある、それがこの演習の面白い点です。

紹介:日本語日本文学科4年 尾方晏奈

※このレポートは、2021年度に作成したものです。

「卒業論文」ってどんなことを書くの?

THESES

日本語日本文学科の令和2年度卒業生の卒業論文テーマ一覧です。
卒業論文ってどんなことを書くんだろう?と疑問に思ったことはありませんか?
多くのニチブン生が、日本語学や日本文学、日本語教育に関連するテーマで卒業論文を書きます。

研究対象・題目 研究室
「楽しい先生」についての一考察 - 形容詞の連体修飾用法に関する容認性判断調査を通して - 秋葉
コロナ禍における熊本県の技能実習生監理団体が抱える課題について 秋葉
文学作品の内容による心理的影響の差異 石井
アサーションにおける話し手の終助詞「ね」の使用による印象形成 石井
山東京伝『化物和本草』考 -陳列される化物- 大島
明治期における<加藤清正>像 大島
南阿蘇村方言のイントネーションについて~熊本市方言と比較して~ 小川
寺院の名称に使用される漢字について 小川
女子大学生の自称詞の使用について 小川
熊本市とその周辺における若年層の「バイ」と「タイ」の使用について 小川
熊本県における準体助詞「ツ」と「ト」の用法 小川
"福岡市方言において最も伝えたい内容をマークする方法について-「トッテ」を使用した文の場合-" 小川
ゲーム・映画における吹き替え翻訳字幕について 小川
久米正雄「受験生の手記」における<圧迫> -健吉の<道>と自死- 五島
「魔性の子」において「故国喪失者」が示すもの 五島
「女生徒」太宰治 「女生徒」における<少女形成> -「有明淑の日記」との比較- 五島
夢野久作『少女地獄』 五島
遠藤周作文学における森田ミツに関する一考察 五島
寺山修司「毛皮のマリー」における母と性 五島
梶井基次郎「檸檬」 -構成するテーマを通して- 五島
織田作之助「黒い顔」 五島
坂口安吾「真珠」における「あなた方」-その特質と超人性- 五島
穂村弘『手紙魔まみ・夏の引っ越し(ウサギ連れ)』 -まみという妖精- 五島
「芥川の人生とキリスト教との関わり」 五島
宮澤賢治「よだかの星」 五島
江戸川乱歩作品における「この世のほかの恋」をする男たち 五島
"宮澤賢治「二十六夜」における穂吉のあり方について-「よだかの星」との比較による、救済の相違- 五島
中島敦「山月記」 五島
「鬼」の正体と変遷 鈴木
『宇治拾遺物語』編者の批評精神 鈴木
『海人の刈藻』における<母性>-物語を平和へと導く存在- 中井
源氏物語 薫と宇治の三姉妹について 中井
氏忠と薫の対照性 -『松浦宮物語』の『源氏物語』反転摂取の様相- 中井
「源氏物語」の紫の上について 中井
≪誤解≫する柏木と六条院権力体制の崩壊 中井
オノマトペと動詞の実相 半藤
「まで」は副助詞か 半藤
程度を表す副詞「ひどく」と「えらく」の違い 半藤
森見登美彦作品における一人称代名詞の役割について 半藤
稲葉家旧蔵の古本節用集について 米谷
方向指示の「ゴトク」再考 - 中近世九州資料の方言 - 米谷
近世における「サトル」「トドム」「ヨロコブ」の漢字表記について 米谷
「極度」の語誌 -近世後期から明治・大正期を中心に- 米谷
学外活動も豊富!

EXTRAMURAL ACTIVITY

文学部は、研究室にこもって書物を読むことばかり・・・そんなイメージはありませんか?
実は、ニチブンは学外活動も豊富なんです!

熊本県立大学・福岡女子大学 合同古典籍研修会

2018年8月30日に、長崎県島原市の肥前松平文庫(島原図書館)において、古典籍研修会を行いました。同文庫は、古典文学作品の善本の所蔵では九州屈指。しかも、研究を志す者には広く閲覧が許されている有り難い機関です。国文学研究資料館(立川市)の委託を受けて、両校の教員が長く書誌調査を重ねてきました。その縁もあって、同資料館の後援のもと、両校の学生・教員が一堂に会しての研修会を開催する運びとなったのです。

午前中は島原松平家の菩提寺である本光寺の常磐歴史資料館を見学し、松平家の由緒と歴史を学びました。午後は研修会。プログラムは次の通りです。

  1. 1.古典籍のかたち    入口敦志(国文学研究資料館・教授)
  2. 2.松平文庫本『夜寝覚』  安武祐梨(熊本県立大学・大学院生)
  3. 3.連歌と連歌懐紙    鈴木元(熊本県立大学・教授)
  4. 4.松平文庫と中世和歌  今井明(福岡女子大学・教授)
  5. 5.質疑・原本閲覧

研修会は松平文庫関係者の出席も得て30名を越える盛会で、成果報告・質疑とも熱のこもった内容となりました。
本学の学生スタッフ4名(大学院生1名・学部生3名)は、前日から島原入りし、成果報告のための画像撮影や資料作成に携わった他、受付や会場の設営等に活躍しました。

八代松井家菩提寺春光寺蔵書調査

平成26年から八代市立博物館未来の森ミュージアムのご協力により、八代松井家菩提寺春光寺蔵書の調査にとりかかりました。
埃と虫食いで、なかなか大変な作業でした。

その他にも、熊本県立図書館の郷土資料悉皆調査などを行いました。