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居住環境学専攻 特集ページ
居住環境学専攻では、地域に密着した題材を通して、
従来の建築学科の枠を超える教育や研究を行っています。
人と自然、さまざまな人々が共に生き続ける社会―環境共生型社会―
をめざして、居住環境学専攻で私達と一緒に学びませんか?
研究室名
- 居住空間計画分野
- 都市・地域計画分野
- 環境調整・設備分野
- 構造・材料分野
居住空間計画分野
建築設計・住空間計画学研究室 (髙橋 浩伸教授)
デザインの目的は、誰かを「幸福」にすることである。この「幸福」とは、世界平和や貧困の救済などのような壮大なものではなく、デザインされた〝ものこと”によって、微笑んだり、感動したりするといった一見些細なことかもしれないが、人間にとって非常に重要な、心揺さぶる体験を創造することを意味する。理念なきデザインは、人を幸福にできない。このデザインの目的を自覚していないと、経済性や機能性、効率性や自己主張のみに囚われ、デザインで人を傷つけてしまう可能性がある。
また建築デザインとは、人間にとって幸せな生活や豊かな社会を構想し、実現する創造的な行為である。建築デザインとは、 社会性を帯びた創造に他ならない。必然的に社会的であることが、純粋芸術とは異なる。社会性を帯びた創造が必須の建築にとって、自己主張だけでは、皆不幸になる。しかし、自分の意志を曲げて、他者のニーズだけを叶えることも、本当の意味での幸福とは言えない。作者としての自分を見失ってしまうからである。自分の価値観と違うニーズに対しては、したたかに、また丁寧に対応しつつ、更にそのニーズを超える、他者も自分も納得できる提案をすべきである。「自己主張」をするのではなく、他者との間で「自己確立」を目指さなければならない。このことを怠ると、他者からの信頼を失い、自分自身さえも見失ってしまう。これこそが建築と純粋芸術の大きな違いであり、さらに言えばこれこそが建築の難しさであり、醍醐味でもある。このような試練を経て生み出された建築には社会性を帯びた「感動」が伴う。
- ■美的空間創造のための基礎的研究
- ■住空間のデザイン手法に関する研究
- ■空間認知環境評価に関する研究
- ■住空間の快適な光環境に関する研究
建築計画学研究室 (佐藤 哲准教授)
佐藤研究室は「建築計画学」の研究室です。
「福祉住環境・高齢者居住環境」の研究をベースに、近年では「空き家」「災害発災から復興期の居住環境」「住情報データベース」「廃材活用と家具デザイン」等も研究テーマにしています。研究室のキャッチフレーズは「調査・研究活動の中心に“ものづくり”を」で、調査・研究に協力していただいた方々に、必ず分かりやすい成果を残すことを目標に活動しています。
- ■高齢者の住まいと情報提供の在り方に関する研究
- ■空き家の利活用に関する研究
- ■地域包括ケアに関する研究
- ■住教育教材の開発に関する研究
都市・地域計画分野
地域計画学研究室 (柴田 祐教授)
日本には、美しい風景のある様々な農山漁村地域があります。一方で、その多くが、過疎化や風景の荒廃など、様々な問題を抱えています。美しい日本の農山漁村を何とかしたいとは誰もが思うことですが、「私にできることはあるのだろうか…」多くの人がそこで立ち止まってしまいます。立ち止まらないようにするためには、何を学ぶ必要があるのでしょうか?
当研究室で対象とする地域は、農山漁村地域を中心としながら地方都市、都市郊外までの幅広い地域を対象として、よりよい地域の環境をつくり、保全するためにはどうしたらよいのか、フィールドワークを中心にしながら研究を行っています。人間と自然との関係や地域に蓄積されてきた歴史や文化を深く洞察し、地域環境や地域社会のしくみを解明し、人口減少社会における持続可能な地域づくりを目指します。
- ■持続可能な農山漁村地域に関する研究
- ■都市と農村の共生に関する研究
- ■熊本地震、熊本豪雨からの農村集落の復興に関する研究
都市計画学研究室 (鄭 一止准教授)
人口減少とともに、スポンジ状の空き地、空き家が広がっています。コロナ禍に伴い、都市のあり方ががらりと変わりつつあります。
空間を取得するよりも、もったいない遊休空間を使いこなせる主体、コンテンツなどマネジメントの手法が大事になってきます。一方、個別的かつ広域的に対応できるまちにするには、大きなエコシステムの観点で見る必要もあります。
当研究室では、縮小時代に対応できる持続可能かつ希望のあるまちを目指す都市計画について考えます。大きく立地適正化計画制度や都市公園法などやや硬い都市政策からの観点、そして空家や空地を活かす空家・空地デザインに関する研究と実践に分けることができます。
- ■地方都市におけるスプロール化とスポンジ化に関する研究
- ■空家・空地を活かし、まち再生の拠点とするリノベーションまちづくりに関する研究
- ■市街地におけるたからものの発掘・発信の取り組みに関する研究
- ■都市計画に関する取り組みや制度に関する研究
環境調整・設備分野
地域環境調整工学研究室 (辻原 万規彦教授)
地域環境調整工学研究室は、建築学の主な3分野(計画系、構造系、環境系)のうち、環境系の研究室です。しかし、実際には、いろいろなことに取り組んでおり、研究テーマは広い分野にまたがっています。主な担当分野である建築環境工学の分野では、熱環境に関する研究が中心です。現在は、室内の熱環境を考えて「すみこなし」をしてもらうことを目指して、「温度想像力」の養成というテーマで、札幌と福山の大学と共同で調査を進めています。音環境や光環境に関する研究に取り組むこともあります。また、建築史・都市史の分野では、様々な産業の工場や社宅街に関する研究、天草にある旅館白磯(旧赤崎邸)などの近代建築物の保存、天草地域のまち並みの歴史的な変容などの研究にも取り組んでいます。最近は、台湾を対象に研究を進めていることもあり、学生達と一緒に台湾を訪問したこともあります。それに、地理学の分野に近い研究や都市デザインの研究に取り組みこともあり、このように広い分野をカバーする研究室は、ほかにはあまりないと思います。
- ■環境への適応を考慮した温熱環境の評価
- ■戦前期に日本の影響下にあった地域の製糖業と地域開発の関係
- ■熊本県天草地方の近代化遺産の保存と活用
環境設備システム学研究室 (田中 昭雄教授)
私の研究室では、住宅や建築設備の温熱環境、省エネルギー、自然エネルギーの活用や地域の低炭素化について研究を行っています。
具体的には、建築物内の温熱環境の計測や、居住者の体表面温度や血流の測定などを行い、室内温熱環境の個人差を考慮した快適性の評価方法の開発、地域の温室効果ガス排出量調査とその変動要因の解析、太陽電池の発電特性の解析などを行ってます。
最近では、都市の情報ネットワークやメガソーラー発電量、公的統計データなどのビッグデータを解析し、環境行政に役立つ情報データベースの構築にも取り組んでいます。特に物理モデルと現実データの融合(データ同化)による新しい情報科学の構築に興味があります。
- ■建築設備の環境負荷
- ■住宅エネルギー消費の地域性と経年変化
- ■太陽電池の発電特性
- ■地域の低炭素化
構造・材料分野
木質構造学研究室 (北原 昭男教授)
本研究室では、木造建物の構造や耐震性に関する研究や、木造建物が中心となっている現代の都市における地震時安全性向上などの研究を行っています。
本研究室で行っている研究は、研究手法別に主に3つに分かれます。
- 1.実験的なもの
構造実験室において地震に相当する力を加える実験を行って構造物に関する様々なデータを集め、それをもとに耐震性能や耐震補強の効果を分析します。 - 2.解析的・分析的なもの
木造建物の耐震設計法・耐震診断法・耐震補強法に関する研究、特に伝統構法建物に関する構造設計法の確立や一般居住者向けの簡便な耐震診断法の開発などに力を入れています。 - 3.現地調査・建物調査を含むもの
地域の地震防災計画を策定するためにフィールドワークを行ったり、様々な木造建物を対象として構造調査を行い、それらの持つ耐震性能の評価や耐震性能の向上方法の提案につなげています。
- ■木造軸組構法建物の耐震性能評価
- ■伝統的木造建物の構造特性の解明
- ■都市建築群の地震被害推定と都市地震防災
居住空間合成構造学研究室 (李 麗教授)
建築構造学は、建築計画の要求する空間を重力や自然環境の中で起こる地震・台風等の外乱に対して、その性能を維持できるように建物の安全性を確保する学問です。
各種の構造材料(鉄鋼、コンクリート、木材など)はそれぞれ長所、短所があります。長所を活かし、短所を補う2種類以上の材料を組合わせて一つの構造部材とした構造は合成構造といいます。
鋼・コンクリート合成構造は、大スパンの建築物、不整形な建築物、および中高層建築物に適した構造です。当研究室では、鉄骨鉄筋コンクリート柱・コンクリート充填鋼管柱などの安定限界軸力、日本の設計規準・指針と他の国の規準・規程・指針との比較などの研究を行っています。卒業論文の研究において、構造設計・構造計算を重視した合成構造の建物の設計も取り組んでいます。また、木造軸組の耐震性能を上げるため、木造軸組にスリット入り鋼板を取付けたハイブリッド耐力壁の耐力・剛性評価について研究しています。
構造教育に関して、静定構造力学・不静定構造力学などの学習効果を図るため、自己学習ツールの製作とその効果を検証しています。
- ■鋼・コンクリート合成構造
- ■木・鋼ハイブリッド耐震壁
- ■構造力学の自己学習ツールの開発